縁と責任

出会ったからには

 

その場に存在するからには

 

登場人物となってしまったからには

 

そこには大宇宙の法則による

神秘的なご縁と

 

限りない責任がつきまとう

 

私たちは選びとった道に

責任を持たなくてはならない。

 

選んだからには、やらねばならぬ

果たすべき役割がある。

 

 

 

 

 

夕焼けと母と子

結婚なんてしたくない。

子供なんて育てたくない。

 

そう思っていた高校生の私が

駅前のパン屋のテーブルにつきながら

窓外を見ていると、

手を繋いで歩く母子がいた。

 

母親はその小さな女の子を抱き上げ、

遠くを指差してみせている。

 

その日は夕日がとても綺麗だった。

 

きっと、きれいだね、という会話を

しているのだろう、などど考えながら、

私はその美しい母子から目が離せなかった。

 

なんて美しいんだろう。

なんて幸せそうなんだろう。

 

もし私にも子ができ、

夕日をきれいだと一緒にみる穏やかな時間を

過ごせるのだとしたら、

なんという幸福だろうか。

 

目の前のあんまりに美しい光景に、

今までの私の冷え切った価値観は

いとも簡単に解かされ、流れ去った。

 

幸せとはああいうものだと思った。

 

暖かい家庭を望まないのではない。

暖かい家庭を築く自信がないだけ。不安なだけ。

 

人を心から愛して愛されて、

穏やかに生きたいと泣き叫びたいほどに

願っているくせに

手に入らないことを恐れて、

初めから望もうともしなかった。

 

それは、そんなのは

間違っていたと、あの時教えられたのだ。

 

あの母子はいまどこで何をしているだろう。

今も変わらず、どうか幸せに過ごしていて欲しい。

 

顔も名前も知らない方、ありがとう。

 

人は時に、その後ろ姿で見知らぬ誰かに

影響を与えることがある。

 

それは私も例外ではない。

 

ただ生きているだけで誰かを救う、

そんな私になりたいと思った。

 

 

 

ファイル: S.T

どう生きてきたらあそこまで

自分の周りを否定できるのだろうか。

 

どう生きてきたら、

あそこまで頑なに自分の現実を

受け止められないのだろうか。

 

あの人にかけられた呪いを

解けなかったことが悔しい。

 

人を変える、救ってみせるなんていうのは

ひどく傲慢に聞こえるけれど

本当に難しいことだから

できる人は事実、偉いと思う。

 

感謝を忘れて生きるとああなってしまうのか。

世界に不満ばかりを持って生きるのか。

いいのか、あなたはそれで、と問いたい。

 

人生は考え方次第だとは

よく言ったものだ。

 

この仕事についてから

いろんな人たちに出会ってきた。

 

自分の考え方、行動で自分の世界は

変えられるという話を聞いたら、

すんなり確かに、と私は思えた。

はじめは、そうだと信じたい、

に近かったかも知れない。

10代の私にとってそれは希望の教えだった。

 

人生は素晴らしいと信じたい。

自分だって幸せに輝けると信じたい。

それは自分自身によるのだと信じたい。

 

そんな希望を、

彼女は抱いたことはなかったのだろうか。

 

自分の意思、覚悟を持って

自分の人生における決断をする機会が

本当にほとんどなかったのだろうか。

 

別の場所に行くにしたって、

せめてよく自分の人生について

考えて、前を向いた結果去る、

というかたちにしてほしかった。

というのは完全に私のエゴだけれど

 

「うーん。。でもぉ。。」

ってそこは頑固なのねぇ。。

 

自己評価が低いがゆえに

事実、具体的にできていない、変えるべき

箇所を指摘されたくない。

誰よりもわかっているはずだけど

認められない。

 

知っているけれど直視したくない。

 

その気持ちは、とても

本当にとてもよくわかる。

 

わかるんだけどさぁ。

 

 

 

それは幾星霜を煌めく

美しく小さなこの命

大切にしたい

 

おかあさんが大変な思いをして

一生懸命に産んでくれたこの身体

大事にしたい

 

それは儚いから

散りゆくから

強く美しく光る

 

私達は光の粒だ

憧れ

なぜ俳優、声優に憧れるのか

 

きっと感情を爆発させることが

できるからだと私は思う。

 

喜び、怒り、哀しみ、楽しさ

 

これらを、いつも抑えて抑えて

日常を過ごしている。

 

特に怒りをぶつけていいときなんて

現実では滅多にない。

 

どうしようもなく声を荒げざるを

得ない瞬間なんて、本当滅多にない。

 

だから、無限列車編の炭治郎(花江くんと言うべきか)の怒りと悔しさと悲しみの叫びが、いつまでも頭から離れない。

 

素晴らしい音楽の演出もあいまって、

涙を抑えられるわけがなかった。

声が出そうになるのを辛うじて抑えた。

 

ブルーレイが出たらあのシーンを

何度も巻き戻して繰り返し観たい。

 

悲しい出来事になんて、会いたくない。

だけど激しい情動を求めて止まない。

それが人間、それが私。

今日も私は、感動を求めて物語を読む。

 

 

葛藤

とても裏切れないと思う。

 

けれど私の本音を無視することは

もうできそうにない。

 

みんなが好きだよ。みんなの役に立ちたいと

心から思うよ。

でもわたし以外の誰か、

私よりみんなの役に立つ仕事が得意な人が

みんなの側にいてほしいよ。

 

私が、得意な人ならよかったんだよ。

でもきっと無理なんだ。

できそうにないんだ。

みんなの側にいることは喜びだけど、

同時に絶望も感じるよ。

私にはここにいる資格も能力もないって。

 

でもみんなはまだ、私が成長して

立派に一人前になることを信じているし

これからも一緒にいることを望んでくれているよね。

その優しさもわかっているから、

無下になんてできないよ。

 

ごめんね。私はもう、私のままで成功したい。

苦手なことは、苦手でいいと思ってしまった。

こんなことができない自分が嫌だと、

思うことがもう嫌だ。できなくたって別にいい。

それでも幸せに生きていく道はあると思うから。

 

私は、私のままでいたい。